遺留分とは?相続法改正後の遺留分侵害額請求権も解説します!

                                                 

遺留分とは法定相続人に最低限保障されている相続分のことです。
兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属、孫)に遺留分が保証されています。

具体的にどのぐらいの割合が保証されているかといいますと、直系尊属(父、母、祖父母)は法定相続分の3分の1、それ以外の相続人は法定相続分の2分の1が遺留分となります。

遺留分の算定方法

被相続人が亡くなった時に遺した相続財産に、下記①②の財産額を加え、負債(借金)を引いた額に、遺留分である2分の1(直系尊属は3分の1)に、さらに法定相続分割合をかけた額となります。

1.被相続人が遺贈した財産。

2.相続開始前の1年間に贈与した財産、及び、それより前であっても当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した財産。
※ただし、相続法の改正により、相続人以外の者が生前贈与を受けた場合は上記と同様ですが、相続人については「特別受益」となる生前贈与を受けた場合に、相続開始前の「10年間」の贈与財産が該当するものとなりました。

被相続人が生前贈与したり、遺贈した分も相続財産として加えることができるということになります。

遺留分算定例

例えば、Aが死亡し相続人が子供のBとCの2人とします。
生前父であるAは遺言を遺しており、「介護をしてくれたBに私の全ての財産を相続させる」と記載されておりました。

一見、Bが全て相続して終わりかと思いきや、Cは遺留分を侵害されたと主張し遺留分侵害額請求をすることができます。
Cは法定相続分が2分の1ですので、さらにその2分の1である4分の1が侵害されたと主張できます。
相続財産が全部で800万円だとすれば、200万円はCの遺留分となります。
よってCはBに対して200万円を支払えと主張することができます。

仮に相続財産が不動産(評価額800万)のみだった場合、Bは200万円を支払えなければ不動産を売却して工面せざるを得えません。

遺留分侵害額請求

2019年7月1日施行された相続法改正により、これまで「遺留分減殺請求」とされていた請求権が「遺留分侵害額請求」に変更されました。

旧法の遺留分減殺請求は行使することにより、生前贈与や遺贈の財産が共有になっておりました。
先ほどの、相続財産が不動産のみだった場合を例にすると、Bが持分4分の3、Cが持分4分の1の共有状態になることになります。

しかし、遺留分権利者は不動産の共有持分を持つことよりも金銭での支払いを望むことも多く、財産の共有状態は権利の複雑化や余計な紛争を生じる可能性も高いため、改正後は「遺留分侵害額請求」という金銭支払い請求権となりました。

遺留分権利者からの請求により、単に遺留分を侵害する額を算定したうえで、その額の金銭支払いを、遺留分を侵害している他の相続人や受遺者、受贈者に対して請求できるものとしたのです。

遺留分減殺請求権の消滅時効

民法1048条に、「遺留分侵害額の請求権は,遺留分権利者が,相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは,時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも,同様とする。」
とあります。

具体的には、単にその贈与や遺贈がなされた事実を知ったというだけではなく、その贈与や遺贈によって自分の遺留分額が侵害され、遺留分侵害額殺請求の対象となるということまで認識してから1年行使しないと時効になるということです。
それと、相続が開始してから10年間経過してしまった場合も同様に時効となります。

まとめ

兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属、孫)に遺留分が保証されています。
遺言や直近の贈与などで自身の相続財産がない場合でも、遺留分侵害額請求権を行使できる可能性があります。

逆に遺言を遺す場合、生前贈与を行う場合も遺留分を考慮して行うことをお勧めいたします。
遺留分をめぐってかえって紛争を生じる恐れがあるためです。

 

 

この記事を書いた人
司法書士 近藤 雄太

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